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2025.11.12
「居心地のいい職場」は清潔な食堂から【利用者が信頼する衛生習慣5つのポイント】

社員食堂は、従業員が一日の活力を生み出す大切な場所です。
ランチタイムのひととき、同僚との会話を楽しみながら食事をする。
そんな日常的な風景の裏側では、実は厳格な衛生管理が求められています。
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」*1では、調理施設における「二次汚染の防止」「温度管理」「原材料の衛生的取り扱い」などの徹底が義務付けられています。
これは法令上の要請であると同時に、従業員の健康を守るための最低ラインでもあるのです。
企業にとって、社員食堂の清潔さは単なる「食の安全」だけでなく「職場への信頼」に直結する要素です。
もし食中毒が発生すれば、業務に支障が出るだけでなく、従業員の会社に対する信頼も大きく揺らぎます。
この記事では、日々の運営で簡単に取り入れられる5つの衛生管理ポイントを紹介します。特別な設備投資は必要ありません。必要なのは、正しい知識と継続的な習慣だけです。
ポイント1:清掃手順を「見える化」して、誰でも同じ基準で掃除できるように

「昨日は誰が掃除したんだっけ?」「この場所、いつ掃除した?」
こんな会話、心当たりはありませんか。担当者が変わるたびに清掃の質がバラバラになる。これは多くの施設が抱える共通の課題です。
厚労省のHACCP手引書*2では、「計画・実施・記録・振り返り」というプロセスを繰り返すことで、衛生管理を見える化できるとされています。(HACCPとは、食品の安全性を科学的に管理する手法のことです。)
具体的には、厨房やカウンターなどの清掃箇所をリスト化し、毎日・週1回などの頻度を明記しておくこと。チェックリストを壁に貼り、実施後に担当者がチェックを入れる仕組みにすれば、誰が見ても「やるべきこと」が一目瞭然になります。*3
担当者が変わっても同じ品質で清掃が行える。これが見える化の最大のメリットです。
ポイント2:手洗いは「最強の食中毒予防」―正しい方法を習慣に
食中毒予防で最も重要なことは何だと思いますか?
実は、手洗いなのです。
農林水産省は「食中毒予防の三原則」*4の一つに「つけない(手洗い)」を掲げています。ほかの二原則は「増やさない(温度管理)」と「やっつける(加熱・殺菌)」。その中でも手洗いは、最も基本的で、最も効果的な予防策です。
ただし、水で流すだけでは不十分。正しい手洗いには手順があります。
日本食品衛生協会による「手洗いマニュアル」*5による手順は以下の通りです。
- 1. 洗浄剤を手に取る
- 2. 手のひら、指の腹面を洗う
- 3. 手の甲、指の背を洗う
- 4. 指の間(側面)、股(付け根)を洗う
- 5. 親指と親指の付け根のふくらんだ部分を洗う
- 6. 指先を洗う
- 7. 手首を洗う(内側、側面、外側)
- 8. 洗浄剤を十分な流水でよく洗い流す手をふき乾燥させる(タオル等の共用はしないこと)
- 9. アルコールによる消毒(爪下、爪周辺に直接かけた後、手指全体によく擦り込む)
この手順で二度洗いすると効果的であると紹介されています。
こうやって見ると手順が多いように感じますが、この手順が、従業員の健康を守り、会社への信頼度を守ります。洗面台に手洗い手順のポスターを貼ったり、タイマーを設置したりする工夫が効果的です。習慣になれば、自然と体が覚えてくれます。

ポイント3:調理器具を用途別に色分けして、交差汚染を防ぐ
「交差汚染」という言葉をご存じですか?
これは、生肉を切ったまな板で野菜を切るといった行為によって、細菌が別の食材に移ることを指します。食中毒の原因として非常に多いパターンです。
厚労省は、調理器具の洗浄・消毒・殺菌を衛生管理の必須項目としています*1。
その中でも特に効果的なのが、器具の色分け管理。
この色分け管理とは、生肉用は赤、魚用は青、野菜用は緑といったように、用途別にまな板や包丁の色を変える、という方法です。こうすることで、スタッフが視覚的に区別でき、混同を防げます。
使用後は洗剤でしっかり洗浄し、熱湯消毒または次亜塩素酸ナトリウムで殺菌しましょう。
ふきんも同様に、用途別に分け使用後は十分に乾燥させることが大切です。
湿ったふきんは細菌の繁殖場所になります。
器具管理は地味な作業に思えますが、これが食中毒予防の要なのです。
ポイント4:冷蔵・冷凍庫の温度管理は「見える化」
温度計、毎日チェックしていますか?
冷蔵・冷凍庫の温度管理は、食材の鮮度と安全性を守る生命線。
冷蔵庫は5℃以下、冷凍庫は−18℃以下を目安に保つ必要があります。
「うちの冷蔵庫、ちゃんと冷えてるはず」という思い込みは危険です。
扉の開閉頻度や庫内の詰め込み具合によって、温度は想像以上に変動します。
だからこそ、温度計を設置し、毎日チェックして記録を残すことが重要なのです。
東京都福祉保健局のガイドライン*6でも、保存温度の安定が食材の品質維持と安全確保の鍵とされています。温度記録は、万が一トラブルが起きた際の証拠にもなります。
デジタル温度計を使えば、記録も簡単。
朝と夕方の2回、チェックする習慣をつけるだけで、リスクは大幅に減らせます。

ポイント5:客席・トレー・返却口など、利用者の手が触れる場所も衛生管理の一部
厨房がいくらきれいでも、客席が汚れていたらどうでしょう?
従業員は「この食堂、本当に安全かな」と不安になります。
清潔さは、利用者が直接目にする部分でこそ問われるのです。
食品衛生の観点からは、テーブル・イス・トレー・返却口などの共有部もこまめに消毒することが極めて重要です。なぜなら、これらの場所は不特定多数の利用者の手が触れる「接触ポイント」だからです。
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」*1でも、施設設備の衛生管理として、客席を含む施設全体の清掃・消毒が求められています。これは、食堂全体の清潔さを保つことが、食の安全を確保する上で不可欠だという認識に基づいています。
では、具体的に何をすべきでしょうか?
- トレーは食器と一緒に洗浄・消毒する。
- テーブルは食後すぐにアルコールで拭く。
- 返却口は定期的に洗剤で洗う。

これらは難しい作業ではありませんが、ルール化されていないと忘れられがちです。
特にランチピーク後の一斉清掃をルール化すると、清潔感を維持しやすくなります。
これらの作業をチェックリストに組み込んで、確実に実行できる体制を作りましょう。
従業員が安心して快適に過ごせる空間を提供することが、衛生管理の最終目標です。
清潔な食堂は、信頼される企業文化の一部
衛生管理は特別なことではありません。「仕組みと習慣」で続けるものです。
今回紹介した5つのポイントは、特別な予算も設備も必要ありません。どれも明日から実践できます。
社員が安心して食事をとれる職場環境は、企業の信頼と生産性を支えます。
「あの会社の食堂は清潔で安心」という評判は、従業員の満足感や採用活動にもプラスに働くでしょう。
毎日のちょっとした習慣が、従業員の健康と企業の信頼を守ります。
今日から、できることから始めてみませんか?
*1 大量調理施設衛生管理マニュアルURL:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168026.pdf
*2日本食品衛生協会「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」URL:
https://www.n-shokuei.jp/eisei/pdf/haccp_tebikisyo.pdf
*3 日本食品衛生協会「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」URL:
https://www.n-shokuei.jp/eisei/pdf/haccp_tebikisyo.pdf
*4 農林水産省「食中毒から身を守るには つけない・ふやさない・やっつける」URL: https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/
*5日本食品衛生協会「手洗いマニュアル」URL:
https://www.n-shokuei.jp/eisei/sfs_tearai.html
*6東京都福祉保健局 飲食店向け 食品衛生管理ガイドブック
https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/pamphlet2/files/gaidobook-honnbunn.pdf

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